ぷよぷよと時間の関係について

著:あおじる、山岸



(1)はじめに
前回のコラムの最後で言及したように、ぷよぷよの対戦の上で非常に重要な要素の一つに「時間」という概念があります。これは、催促という戦術が、相手の連鎖の消える時間を利用して自分の連鎖を伸ばしていくという技術であるということを説明すればいかに時間が有効であるかが分かると思います。今回は、ぷよぷよと時間についてみていきましょう。(注:ここでは、基本的にAC版ぷよぷよ通の速度の場合について考えていきます)

(2)結論
・ぷよの消す時間は、催促を撃つ場合に重要で、相手の連鎖数によって自分の置けるぷよの数が大きく異なる。
・催促は、同じぷよ数を消費する場合にはできるだけ少ない連鎖数で仕掛けた方が多くのぷよを置くことができるので有利になる。
・逆に、先に本線を撃たされるような場合では、多色消しを利用することによって相手の伸ばす時間を短くしつつ、連鎖の威力を稼ぐことができる。

(3)連鎖時間の基礎
(3)-(ⅰ)連鎖時間表
ぷよぷよが消える連鎖数と時間は以下の表とグラフのようになります。

(連鎖時間の単位は秒)

(グラフは横軸が連鎖数、縦軸が連鎖にかかる時間、縦軸の単位は秒)
ちなみに、ぷよぷよを画面上部から最下段まで最高速で落下させた場合は、一手あたり0.8秒となっています。  このようにしてみると、大体連鎖数と時間は比例しているように見えますが、1連鎖目だけは0.5秒と、他の連鎖と比べて半分以下の時間で消えるということが分かります。実際の対戦で1連鎖の多色消しが強力に感じるのは、このような理由によるわけです。

(3)-(ⅱ)催促の概念
ここからはより実践的な話をしていきましょう。冒頭にも述べた、ぷよぷよと時間の還啓で最も大事な催促について見ていきます。  まず、催促とはどのような考え方だったかということを確認しておきましょう。催促とは、自分が先に小連鎖を撃ち、相手に本線を撃たせ、相手の連鎖が発動している時間を利用して自分の本線を相手の本線以上に伸ばしてより多くのお邪魔ぷよを発生させて勝つという戦術です。  対戦をしたことがあればわかると思いますが、催促をしかけて相手に本線を撃たせて有利になる場合を経験したことがあれば、不利になる場合も経験したこともあるでしょう。では、どのような場合は有利になり、逆にどのような場合に不利になるのでしょうか。  一般的に、有利な催促、不利な催促とは以下のように言うことができるでしょう。

・有利な催促
食らわせれば相手の隙を作れる
対応されても自分が不利にならない
本線を撃たせることができたら勝てる

・不利な催促
食らわせても大したダメージにならない
対応されると自分が不利になる
本線を撃たれたら負ける

特に、相手に本線を撃たれたら負ける連鎖は最悪であり、悪い催促となります。

ここからは、催促と本線の関係について、どのタイミングで打つと悪い催促になってしまうのかということを見てみましょう。先ほどの紹介した連鎖の消えるのに必要な時間と一組のぷよを置くのにかかる時間の表を確認しておいてください。

(4)2ダブ(2連鎖目が2色消しの2連鎖)催促
(4)-(ⅰ)8連鎖保持の場合
まず、2ダブの特徴についてまとめておくと、
・威力は920点(ほぼ3連鎖と同じ)
・消える時間は1.8秒(2連鎖分)
・消費するぷよの数は12個(4+4×2=12)
 となります。これを頭に入れておきながら相手の本線が8連鎖、9連鎖、10連鎖それぞれの場合について考えていきましょう。 8連鎖の場合

対戦の場面。左側の1pが2ダブを撃った瞬間に8連鎖の本線を撃ったとしましょう。これは打った瞬間に不利な催促になるのかどうか、今回のテーマである時間の概念から見ていくこととしましょう(今後もいくつかの場合について見ていきますが、基本的には1p側が催促を撃ったのと同時に2pが本線を撃った場合について考えます。
相手の連鎖は8連鎖ですから消える時間は上の表のように9.6秒となります。よって、自分は9.6秒のうちに相手の連鎖を上回る連鎖を撃たなければなりません。その中ですでに自分は2ダブを撃っていますので、すでに9.6秒のうち1.8秒を消費しています。よって、自分が連鎖を伸ばすのに与えられた時間は

9.6-1.8=7.8(秒)

となります。上で述べたように、ぷよを一手置くのに0.8秒かかるわけですが、画面上部に置く分、一手置くのにかかる時間が画面上部から最下段に置くのに比べて所要時間がわずかに減るので、大体10手くらい置くことができます。

上のぷよ図は、1pが連鎖を撃った後の残された形になります。計算上も、2ダブ3連鎖分のぷよを消費しますから、2ダブを撃った後は、1pの残された本線は5連鎖です。ここから勝ち切るには、残された時間で置けるぷよの数が10手(20個)で、相手の連鎖を上回るために9連鎖を撃たなければなりません。ぷよは4個で1連鎖を組めますので、10手あれば降ってくるぷよは20個、すなわち5連鎖を組むことができますので、ほとんど無駄なぷよを出さずに、全てのぷよを連鎖を伸ばすのに使うことができれば勝つことはできます。しかしながら、実際に対戦をしたことがある方ならよくわかると思いますが、すべてのぷよを使い切れることは非常にまれですので、実際には勝ちきれないという場合が非常に多くなります。

(4)-(ⅱ)9連鎖保持の場合
 では、9連鎖の場合はどうでしょうか。8連鎖の場合と同じように見ていきましょう。 9連鎖の消える時間は、10.9秒ですが、2ダブを撃っているので、残された伸ばしの時間は

10.9-1.8=9.1(秒)

となります。よって、12手のぷよを置くことができます。そして、催促で3連鎖分のぷよを消費しているので、勝つためには10連鎖以上の連鎖をうつ、すなわち4連鎖以上の連鎖を組まなければなりません。したがって、12手で4連鎖を組む必要があります。
理論上は6連鎖組めるところで4連鎖を組めれば十分なわけですから。先ほどの8連鎖の場合と比べるとだいぶ伸ばしに余裕があるといえます。

(4)-(ⅲ)10連鎖保持の場合
10連鎖は、消えるまでに12.2秒かかります。2ダブが1.8秒かかるので自分が使える時間は10.4秒です。よって14手のぷよを置くことができます。催促では今まで見てきたように3連鎖分のぷよを消費しているので14手で4連鎖伸ばすことが出来ればほぼ勝ちが確定します。14手あれば理論上は7連鎖組めるわけですから、降ってくるぷよのうちの約半分のぷよを無駄にしても十分勝ち切ることができます。8連鎖の時とと比べると、大分時間に余裕があるような感じがしますね。

(5)3連鎖催促
 (5)-(ⅰ)8連鎖保持の場合
 次は、催促が三連鎖の場合について考えてみましょう。3連鎖の特性は以下の通りになります。
・威力は1000点(2ダブよりも1個だけ多くお邪魔が降る)
・時間は3.1秒(普通の3連鎖と同じ)
・消費するぷよの数は12個(4+4+4=12)

では、8連鎖の場合につい2ダブについて検証したのと同じように見ていきましょう。

先ほどの場面と同じく対戦の場面。左側(1p)が3連鎖を撃ったのと同時に右側(2p)が8連鎖の本線を撃った場合を考えます。この場合、1pは有利なのでしょうか。 8連鎖は消えるのに9.6秒かかります。そして、3連鎖は消えるのに3.1秒かかります。よって伸ばすことができる時間は、

9.6-3.1=6.5(秒)

この時間では、画面上部においていくとしても9手ほどしかぷよを置くことができません。したがって、相手の本線よりも大きい連鎖を撃つには、9手で4連鎖を組まなければならず、ほとんど余裕がありません。したがって、自分、相手ともに本線が8連鎖の時に3連鎖の催促を撃つと、撃った側が非常に不利になるということが分かります。

(5)-(ⅱ)9連鎖保持の場合
それでは、9連鎖の場合はどうでしょうか。これまでと同じように見てみましょう。9連鎖は10.9秒、3連鎖が消えるのに3.1秒かかりますので、伸ばす時間は

10.9-3.1=7.8(秒)

となります。したがって、伸ばすのにあたって10手分のぷよを置くことができます。10手で4連鎖は、2ダブの所で見たのと同じように、8連鎖同士の場合と同じで、勝つのには運の要素が大きく関係してきます。

(5)-(ⅲ)10連鎖保持の場合
10連鎖は消えるまでに12.2秒かかります。3連鎖は消すのに3.1秒かかりますから、伸ばす時間は

12.2-3.1=9.1(秒)

となります。したがって、12手分のぷよを置くことができます。12手で4連鎖ですから、2ダブ催促のときの9連鎖と同じ状況になります。このようにしてみると、2ダブと3連鎖の催促は、消費するぷよ量が同じで、発生するお邪魔ぷよ量が変わらなくてもこれだけの違いが発生するということが分かります。

(6)多色消しの強みをもう一度考えてみる
(6)-(ⅰ)副砲
前回の最後の方でも触れましたが、多色消しの強みを実践の中で見てみましょう。   副砲として使う場合 副砲として見た場合は、どのようになるのでしょうか。 今回のコラムで見れば明らかですが、副砲は多色消しを行うことによって、短い時間でより多くのお邪魔ぷよを発生させることができますので、相手の本線を撃たせるための最速としての使い方は非常に有効です。また、中盤戦での小連鎖での応酬の中でも、対応に多色消しを使うということは、次の攻撃に早く移れるという点で優秀な消し方であると言えます。

(6)-(ⅱ)本線
本線で使う場合

  図のような場合を考えてみましょう。 最後に多色消しを抱えた連鎖です。5連鎖しかないですが、5連鎖目は4色消しで、16個のぷよが消えます。 これは、どれくらいお邪魔ぷよを発生させられるのでしょうか。前回のコラムに書いてあった連鎖威力表を使って、5連鎖目の威力を見てみましょう。 連鎖の威力は

10×消したぷよぷよの数×(連鎖ボーナス+連結ボーナス+多色ボーナス)

によって計算することができますので、消したぷよぷよの数、連鎖ボーナス、多色ボーナス、の数をそれぞれ代入して計算すると、

10×16×(64+0+12)=12160

となり、連鎖威力としては6連鎖(8680点)を大きく上回ります。また、これは連鎖の消える時間が5連鎖分(5.7秒)ですから、相手に7手分(相手からの2ダブの催促が来た場合は5手、3連鎖の場合は3手)しか置かせないわけですので、相手の伸ばす時間を削るという効果が見込めます。 後打ちの場合は、先打ちほどの効果は見込めませんが、相手のセカンドを組む時間を削ることができるということが分かります。

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